あなたに溺れていくー・・・
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「ただいま」
この部屋の住人の声がした。
愛しくて愛しくて仕方がないあの人の声。
「お帰りなさい」
リビングに来た彼にそう言うと、笑いかけてくれた。
それだけで、胸が高鳴る。
「ご飯、食べる?」
「作ってくれたの?」
「うん」
やったーなんて言いながら、彼はキッチンへ行く。
そんな彼の後ろ姿を見るだけで、自然と笑顔になる。
今、あなたはあたしを好きでいてくれる。
でももし、あなたの気持ちが消えてしまったら?
そんなことを考えるだけでぞっとした。
気が付くとあたしは彼の背中に抱きついていた。
「・・・どうした?」
「・・・あたしを捨てないで・・・」
「え?」
気が付くと口走っていた。
「ごっごめん・・・!気にしないで!!」
「・・・捨てるわけないよ」
「え?」
彼はあたしの方を向き、あたしを抱きしめた。
「俺にとってお前は必要だから」
「・・・」
「愛してる」
あたしの頬に涙が伝った。
あなたの優しさに触れ、
もうあなたしか見えないくらい溺れてしまった。
そしてこれからもどんどんあなたに溺れていくのー・・・
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