あのまま自宅に帰った私は自室に篭っていた。
あの2人を見て私は劣等感を刺激された。
翔兄と歩いていた女の人は本当に大人っぽくて綺麗で、
翔兄と並んでいてすごく絵になって。
それに比べて私はまだまだ子どもで、
綺麗なんて言葉には程遠い人間で、
一緒にいても不釣合いなだけで。
考えてみればこんな私を翔兄が本気で相手するわけがない。
私はただの遊びだったんじゃないだろうか。
本当はあの女の人が翔兄の彼女かもしれない。
私の頭によぎる嫌な想像は途切れることを知らなくて、
また、涙も止まることなく流れ続けていた。
+ + + + +
そのまま私は泣き疲れて眠ってしまったらしい。
気づくと外は真っ暗で、外から入ってくるわずかな光が部屋を照らしている。
鏡を見ると目が真っ赤に腫れていた。
運良く両親共々出張で明後日まで戻らなくて、明日は休日。
泣いたことが誰にも知られなくてほっとした。
こんな姿誰にも見られたくない。
鏡に映った自分が
自分じゃないように感じられたんだ。
そんな自分を見たら
皆なにかあったのかくらい気づいてしまう。
それだけは絶対に嫌だった。
ただぼーっと座り込んでいると
私の携帯からメロディーが流れ、室内に鳴り響いた。
そのメロディーは個人設定されたもので
ただひとりだけ登録している。
だから鳴っただけでわかってしまったのだけど、
もしかしたら違う人かもしれないと思い、携帯の画面を見ると、
案の定そこには
"杉崎
翔平"
と表示されていた。
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