01.歳の差



私とあなたの年の差は5歳。
あなたにとって私は妹みたいなものなのでしょう?





「遥!」


私を呼ぶ声が聞こえた。
その声の持ち主が誰なのか振り返らなくてもわかる。

そっと声のしたほうを向いた。
するとそこには私が予測していた人がいた。


「翔兄?」

「お前こんなとこで何してるんだ?」

「ちょっと本を買いに・・・」

「夜遅くに歩いてたら危ないだろ!」

「まだ8時前だよ?」

「それでも危ない!」


翔兄は私を心配してくれる。
でもそれは妹を心配するようなものなんでしょう?


「夜出るときは俺に連絡しろ。迎えに行ってやる」

「でも悪いよ・・・」

「今更そんな気使わなくていい」


私と翔兄は小さい頃からの付き合い。
家が隣で家族ぐるみでの仲が良い。
でも翔兄は大学生になり家を出た。
そんな翔兄にいちいち帰らせるなんて迷惑かけられない。


「でも・・・!!」

「俺が良いって言ってるんだからいいんだよ」


なんでそんなに優しくするの?

小さい頃から私に優しくしてくれた。
気づいたらそんな翔兄に恋心を抱いていた。

でも翔兄が優しくしてくれるのは
私が妹みたいな存在だからでしょう?

だから私は諦めなくてはならない。
なのに優しくされればされるほど、好きになっていく。


この年の差がなければ
あなたは私を妹ではなく女として見てくれますか?

そう心の中で投げかけた。





→02背伸び



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